温浴ビジネスマネジメント&プランニング
小林経営企画事務所

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《KKK通信》 温浴事業のなんでも情報発信〜



温浴コラム:『湯湯談語』

浴施設のちょっとした話、おもしろい話、少し専門的な話を楽しく、分かりやすくコラムにしています。
第3話は『温浴施設の投資と施設計画』です。
温浴施設を設計する際にどのような視点でプランニングを行っていくべきかを少し専門的に解説します。


 第3話 温浴施設の投資と施設計画




温浴事業計画の成り立ち
温浴事業の計画は、「投資額=施設計画」「営業計画=料金設定」「マーケット=集客数」の3つのバランスから最も効果的な事業採算性を導き出すことから始まります。
「料金設定を低くし、投資額を低減し、高い集客数で採算性を確保する」という事業バランスもあれば、「料金設定を高くし、投資額を大きくし、低い集客数で採算性を確保する」という事業バランスもあります。
従って、事業採算性を基点として、この3つのバランスが成り立つ組み合わせは無限に存在していると言え、温浴事業の計画も無限に存在していると言えます。
その無限大に存在する温浴事業の計画は、事業主の資金調達力、土地の広さ、立地環境、法的規制、事業主が許容できる事業リスクの大きさなどにより、着陸点が決まっていくのです。
では、この着陸点となる「投資額=施設計画」「営業計画=料金設定」「マーケット=集客数」の数値はどの計画者でも同様の結果となるのでしょうか。
実は、ここに事業採算性の成否確度に大きな差が生じる要因があります。

「投資額=施設計画」の重要性
「投資額=施設計画」「営業計画=料金設定」「マーケット=集客数」はそれぞれ密接な関係性を持っていますが、その中でも最も重要となるのが、「投資額=施設計画」です。
「営業計画=料金設定」については高ければ高いほど採算性を向上させ、「マーケット=集客数」も多ければ多いほど採算性を向上させていきます。
しかし、「投資額=施設計画」だけは低ければ低いほど採算性を向上させるのです。
加えて、「投資額=施設計画」は「営業計画=料金設定」と「マーケット=集客数」に対して数値的には比例する関係にあることから、「営業計画=料金設定」と「マーケット=集客数」を向上されていくためには、「投資額=施設計画」を拡大していかなければなりません。
しかし、「投資額=施設計画」の拡大は採算性の低下へと繋がるマイナス要因です。
また、「営業計画=料金設定」と「マーケット=集客数」は事業開始後に修正が可能な流動的要素ですが、「投資額=施設計画」は事業が開始すれば永久に修正することのできない固定的要素です。
つまり、「投資額=施設計画」のリスクは「営業計画=料金設定」や「マーケット=集客数」のリスクとは比べ物にならないほど大きなものなのです。
従って、「投資額=施設計画」をどれだけ低減できるかが温浴事業にとって最重要課題なのです。
ここからが今回の主旨となりますが、この「投資額=施設計画」を低減されていくためにはどのようにすればいいのかを解説していきます。
ここまで、「投資額=施設計画」と「投資額」と「施設計画」を同じくくりとして表記してきましたが、実はこの「投資額=施設計画」がキーポイントになります。

効率的な施設計画
前述してきたように「投資額=施設計画」は低減することにより採算性が向上します。
しかし、これを「投資額」と「施設計画」に分解してみれば、「投資額」が低減により採算性を向上される要因であり、「施設計画」は拡大が集客や料金設定を向上させる要因となります。
従って、「投資額」と「施設計画」はイコールで結ばれながらも真逆の効果をもたらします。
すなわち、必要なのは「施設計画を拡大しながら投資額を低減する」ことです。
温浴施設のプランニングを行っていく上でまず第一条件となるのが、想定集客数から導き出される「想定同時滞在者数」です。
滞在者が基準となる訳ですから「滞在する箇所」の量的設定をしなければなりません。
実はここが「施設計画を拡大しながら投資額を低減する」一番のポイントになります。
「テーブル席」「ベンチ」「広間」などロビーや飲食ゾーンであれば誰でも比較的簡単に量的設定ができますが、浴室に関しては量的設定が非常に難しいのです。
浴室での滞在は、「洗い場」「サウナ」「浴槽」です。
従って、洗い場の個数、サウナの収容人員数、浴槽の大きさと形状は、キャパシティを決めるためには重要となる量的設定項目です。
しかし、温浴施設の設計経験が少ない設計事務所が計画した温浴施設の大半は、浴室の量的設定がほとんどできていません。
やみくもに広い浴槽、滞在者数見合わない洗い場の数、だだっ広い土間、サウナの大きさに遭わない水風呂など非効率的な浴室がよく目につきます。
また、浴槽の配置や形状が悪く、設備コストや維持管理コストを増大させてしまっている施設も多く見られます。
浴室の建設コストはロビーや脱衣室などのドライゾーンと比較すると2倍以上のコストが掛かります。
浴室の非効率化は施設計画の拡大を実現できずに投資額だけが拡大することになり、事業採算性を著しく大きく悪化させていきます。
脱衣室やバックヤードなども浴室計画と同様のことが言えます。
温浴施設をプランニングする上で、効率化を考えた場合、実は柱のスパン割がほとんど決まっています。
ここでは、企業秘密のため詳細は記しませんが、浴槽形状や洗い場、サウナ、脱衣ロッカーの割付などは一定の基準でスパンが決まってきます。
一定の基準とは利用者が安全かつ満足を得られるスペース配分により決められた基準値です。
このように、効率的かつ満足度の高い施設計画は「施設計画を拡大しながら投資額を低減する」ことに繋がります。
同じキャパシティながら施設面積が2倍以上も異なる温浴施設が実際に多くみられます。
施設が2倍以上ということは、単純に投資も2倍以上です。
しかし、キャパシティが同じということは集客は同じです。
このような施設の採算性が高いわけがありません。
しかも、もう修正はきかないのです。




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温浴コラム『湯湯談語』
【過去の掲載】
第1話
公衆浴場の歴史と変遷
第2話
「温泉」とビジネス
第一部
温泉競争戦略
第二部
事業戦略ツールとしての「温泉」
第3話
温泉施設の投資と施設計画

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